警察が侵入窃盗犯を逮捕する瞬間を見た

約束の時間を40分も遅れてやってきたのに、彼は謝るより先に、警察が侵入窃盗犯を逮捕する瞬間を見たと興奮している。遅れるなら遅れるとラインのメッセージの1つくらい送ってくれればいいのに、彼はここに来るまで、自分のスマートフォンで撮影した、警察と泥棒との激しい攻防を、繰り返し見てきたのだという。

興奮したままの彼ととりあえずカフェに入り、コーヒーを頼んでから、その動画を私も見せられた。彼はいちいち横から説明してくれるのだけど、画像は彼の興奮が直に伝わってくるようなぶれぶれのもので、ハッキリ言って私にはよくわからなかった。彼の何やらささやく声と警察なのか泥棒なのか、どちらが発しているのかわからない怒声ばかりが際立つ動画だった。

彼の住んでいる街は学生も多く住み、繁華街からは少し離れていて閑静な住宅街だ。割と高級な土地柄で知られ、ひったくりとか強盗とかいう犯罪の話もあまり聞いたことはない。彼の私への第一声だった侵入窃盗犯というのは、警察官が無線で話している言葉をそのまま使ったようで、要は空き巣狙いのことらしい。彼が私との約束時間に合わせて家を出ると、自転車にまたがった警察官が、大声をあげながら路地に入って行くのが見えたのだそうだ。通りすがりに目で追ってみたところ、警察官が増え、1人の男性を取り囲む様子がわかったのだという。

空き巣というのは家人の留守中に屋内に侵入し、金品を奪う、泥棒のことだ。屋内に侵入するためにガラスを割ったり鍵を壊したりするし、部屋の中をめちゃくちゃにする大変迷惑な犯罪だ。彼の話を聞くと、今日のその窃盗犯は、侵入しようとしていたところを見つかったようだから、狙われた家は大きな被害はなかったことだろう。それは良かったが、彼の住む街が空き巣狙いに狙われる街だということもわかった。警察官が巡回していたのも、空き巣被害を警戒してのこと。彼も気を付けなければいけないと思う。
栃木県警察 TOCHIGI POLICE